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てぃーだブログ › 稲村公望さんを国政に送り込もう!

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Posted by TI-DA at

2009年08月17日

稲村公望さんのレジスタンスと私の思いで

久々に稲村公望さんに会った。1996年から沖縄郵政の所長をして、沖縄情報特区を提唱した。その後、郵政省に戻り、郵政公社の常務理事となって、郵政民営化に最後まで反対していたが、任期が来たので退官。いまは中央大学の客員教授(大学院公共政策研究科)になっている。

島田勝也氏がリードしている沖縄ベンチャースタジオ(県産業振興公社)が招聘し、ノースバレー(=北谷。照屋りんけん氏の店「カラハーイ」で開催)で講演するために来沖した。

内容は大資本がより強くなる格差拡大社会、縮小均衡の構造改革では、首相がいっていることと現実がまったく正反対になっている。拡大均衡政策が国民を豊かにする。ヨーロッパやカナダの各国政府が投資をして経済成長しているのに対し、日本は経済成長しなくなり、伝統や文化まで破壊されようとしている、というもの。「わたしはいまの構造改革に反対する(抵抗セイ…じゃなかった)レジスタンスだ」と述べた。

続いて、島田氏、りんけん氏を交えてのトークが始まり、りんけん氏は稲村さんの依頼を受けて郵政民営化反対の曲をつくったという話を披露し、稲村さんは突然、誰も聞いたことがない唄を歌った。

・・・・・・・・・


稲村さんが沖縄に赴任した頃、わたしは構造改革すべきだと思いこんでいたので、話は合わなかったはずだが、

赴任早々のある日、濃紺の公用車で沖縄観光速報社に乗り付け、「君のところのホームページは面白いから、どんな人がやっているのか見に来た」という。当時、県内企業のホームページは非常に少なかったので、片っ端から見に行ったのではないかと思う。

どうぞといってイスを勧めたら、社長の席に座り、(途中で社長が戻ってきて、名刺交換して隅っこに座った)沖縄情報特区構想を打ち出すので智恵があったら出してくれ、

といって、あわただしくかえっていった。

そこで、わたしは昔から考えていたアイデアを企画書風にして、稲村さんに届けた。県内企業や大学研究者らから調査研究事業として1000万円くらいの企画がいくつも出ていたが、わたしは10億円と書いて出したら

「10億円の企画書を出したのは、君だけだ」

といって、面白がったようだ。

(企画書そのものはその時は没だが、ブロードバンドの普及などで、そこに書いた内容の多くはもう実現してきた)

10億円の企画のお返しに(?)平成9年(1997年)4月に沖縄情報通信懇談会(稲嶺恵一会長=現沖縄知事)から、「地域情報情報化の推進に貢献した」といって表彰状と副賞3万円をもらった。

・・・・・・・・・


それから10年近くたってみると、わたしの方はすっかり抵抗勢力になっていて、稲村さんがいっていることが、よく分かるようになった。

「やっぱり、鋭い人ですよ。(10年前)それを稲村さんは見通していたんじゃないですか」。2次会にも出たかったが「車を運転するので、帰るよ」と島田氏に合図したら、そんなことをいう。

「わはは、そんなの分かるはずはないよ。あの頃はみんな一緒に無駄を省けといっていたじゃないか…」と応じて別れた。しかし、ふとその可能性もあるなと…。いや、ないか。稲村さんという人は変人かも知れないが、いっていることはズーッとまともだ。それにわたしが後から気が付いただけという話だろう。(渡久地明ブログ、06年2月。その後08年春「稲村公望新聞」第1号に転載)  


Posted by 稲村公望ファン at 20:07Comments(0)エピソード

2009年08月17日

米国経済の破綻は、日本自立のチャンスだ! 3/3




稲村公望
(衆議院比例区東海ブロック・国民新党公認候補)


米国経済の破綻は、日本自立のチャンスだ!
日本は新自由主義を超克し、
世界新秩序形成を主導せよ
対談
政治評論家森田実
中央大学大学院客員教授稲村公望
(『月刊日本』08年11月号より)
3/3



小泉改革の本質はアメリカと財務省の握手だった<稲村>

【稲村】 小泉構造改革の本質は、アメリカと日本の財務省の握手だった。アメリカは、市場原理主義を日本に実現させて、利益を得る。財務省は財政を引き締められるだけ引き締め、国民が自ら増税が求めるような状況を作りだし、増税社会を実現する。この両者が手を組んだことによって、小泉構造改革のパワーが生まれたのである。
 財務省は2011年のプライマリー・バランスの達成を目指している。これを金科玉条のごとく守ろうとして、徹底した歳出削減を進めた。ところが、民主党もプライマリー・バランスの達成という目標を維持するとしている。つまり、民主党政権ができても何も変わらない。ここに日本の不幸がある。

【森田】 私は、もし小沢内閣が誕生すれば、それは近衛内閣のようになるのではないかと心配している。近衛は国民の大きな期待を背負って登場したが、日本はさらに悪い方向へと暴走していった。つまり、自民党への幻滅、政権交代への強い期待の中で誕生する小沢政権が、現在よりさらに悪い方向に暴走することを懸念せざるを得ない。それは、アフガン戦争への参加の問題だ。

 この際、日本国民は、好き嫌いの感情に流されることなく、自立した日本を確立するための新たな政治運動のセンターを作るべきだ。それは「自公」「小沢民主党」の両方を超克する政治運動である。例えば、かつての薩摩、長州、土佐のように、独自の方針を持った自治体が主導権を握り、新秩序形成を牽引していくことはできないか、と私は考え始めている。

【稲村】 今回のアメリカの経済破綻を喜んではいられないが、市場原理主義の破綻がはっきりしたという点ではホッとしている。

 簡保と郵貯の資金を外資が狙っていたとの話は当然であり、民営化の法律を成立させる過程でも、外国政府や資本の圧力が陰に陽にあった。しかし、その中身は未だに公表されずにいるだけではなく、実際の目標が外国政府の文書にまず掲載され、日本国内では不問に付され、マスコミが報道しないというのは、全く遺憾なことである。

 しかし、ようやくここに来て、この日本の国民資産を海外に持ち出して、荒稼ぎをしようとした陰謀は潰え去った。地方や伝統や、文化を切り捨てて、日本の郵便局が蓄えてきた財産を切り売りし、あるいは海外での戦争遂行の原資としようとした陰謀は失敗に終わった。

 特に、目減りしてしまったとはいえ、180兆円ある郵貯や簡保の資金が外資に奪われることなく残ったのだから、これを日本国民のために有効に活用することを考えるべきだ。ただ寝かせておいてはいけない。

アメリカ経済の破綻は日本自立のチャンスだ<森田>

【稲村】 いまこそ日本は逆張りの政策に転じるときだ。プライマリー・バランスを目指すのではなく、まず規制緩和の停止、民営化の停止、公共事業の再開に踏み切る必要がある。この三つをやるだけでも大きな効果があるはずだ。そして郵政民営化などの一連の民営化をただちに停止すべきだ。

 ところが、新自由主義の信奉者たちには反省が全くない。10月2日付の『朝日新聞』朝刊は、「郵政民営化一年」という特集記事を掲載し、竹中平蔵の論説を掲載している。竹中の論説には、「政治は邪魔するな」という題がついている。政治で、根拠のない構造改革をすすめ、郵政民営化を強行した上に、政治の口出しをやめろとは、暴論である。

 また、この10年間で、官僚制度は形骸化、空洞化した。官公庁で出世しているのは、新自由主義に賛意を示し、忠誠を誓った人ばかりだ。

 「官から民へ」「中央から地方へ」「大きな政府から小さな政府へ」の中身を検証することなく、ただマントラのように唱えた人間だけが出世した時代だ。しかも、小泉時代には意図的に人事が行われた、と私は感じている。

 麻生内閣でも、郵政民営化論者で、しかも国際物流という夢物語を唱えて、完敗した官僚を起用している。麻生内閣の人事掌握能力がなく、市場原理主義者の手にゆだねられていることがわかる。こうした人事を一日も早く終わらせなければならない。また、経済財政諮問会議のような組織も解体すべきだ。

 私が主張したいのは、官僚制度の中立を回復しなければならないということだ。官僚制度はときの権力に迎合するのではなく、日本の国体について真実を語り、日本の権威と精神に忠実な組織に作り変えるなければならない。外交官もまた、一部の資本家の手先になったり、アメリカの貿易代表部のような存在になるべきではなく、日本の国益を守り、日本の伝統と文化を主張する存在として、法むことなく行動すべきだ。

【森田】 日本は、終戦後アメリカの占領下に置かれ、独立後も完全に支配下に置かれてきた。そして、レーガンからブッシュの時代には、日本の国富はアメリカに吸い取られ、食い尽され、奪われ続けてきた。

 だが、アメリカ経済は破綻し、地獄に向かって落ちつつある。日本はこれに巻き込まれつつあるが、しかし、これは日本にとって大きなチャンスだ。今こそ、日本は巨大なアメリカ帝国主義の支配から脱して、自立国家としての政治を確立すべきときだ。アフガン戦争、イラク戦争という一神教の戦いには巻き込まれないということを大義として掲げ、アメリカの政策から自立していくべきである。

 日本が世界に向けてメッセージを発信していくためには、まず日本は世界のモデルになるような国になる必要がある。かつて、池田政権時代に日本は、資本主義では不可能とされていた「総中流社会」を作った。これを再現することによって、日本は世界に範を示すことができるのだ。

 国民を幸せにできる国家となって初めて、日本は世界にメッセージを発信できる。中南米諸国とも、ロシアを含むユーラシア大陸諸国とも手を結び、クーパーのいう「パックス・グローバリズム」に移行する方向に世界を導くため、日本は努力すべきだと思う。そのためにも、日本は一日も早く国民経済を安定させなければならない。(文責月刊日本編集部)

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Posted by 稲村公望ファン at 19:28Comments(0)稲村公望論説

2009年08月17日

米国経済の破綻は、日本自立のチャンスだ! 2/3




稲村公望
(衆議院比例区東海ブロック・国民新党公認候補)


米国経済の破綻は、日本自立のチャンスだ!
日本は新自由主義を超克し、
世界新秩序形成を主導せよ
対談
政治評論家森田実
中央大学大学院客員教授稲村公望
(『月刊日本』08年11月号より)
2/3


【森田】 稲村さんが『月刊日本』10月号で紹介した通り、アメリカは新自由主義を導入するために「シヨック・ドクトリン」という手法を使った。平然と人権侵害さえ行われてきた。アルゼンチンでは3万人をも抹殺してシカゴ学派の提唱する政策を実現した。

 その結末が今回の経済破綻だ。「日本は大丈夫だ」などと呑気なことを言っている人がいるが、日本はアメリカに搾り取られたうえに沈没させられる運命にある。日本でほとんど報じられていないが、アメリカに忠実に従って新自由主義の改革を行った韓国はデフォルトの危機に直面している。

 アメリカは金融安定化法を成立させたが、この程度の措置で安定しないことは、その後の株価の暴落でもはっきりしている。すでにアメリカ政府は、コントロールする力を失っている。

 世界について言えば、パックス・アメリカーナが崩壊したということだ。そして、無秩序世界となったわけだ。

 もはや我々は新たな世界協調体制を再構築するしかない。そのためには、先進国だけの力では無理で、新興国の参加が必要である。ロバート・クーパーが『国家の崩壊 新リベラル帝国主義と世界秩序』(日本経済新聞出版社)で述べているように、世界はパックス・アメリカーナから「パックス・グローバリズム(全世界による平和)」へ移行していくしかない。

 ただし、その移行過程では絶望的な混乱期を経なければならないだろう。日本の政治家はこういう議論をほとんどしていない。ナオミ・クラインの著書『The Shok Doctrine』の存在すら、ほとんどの政治家が知らない。

『The Shok Doctrine』が世界の恩想を変える<森田>

【森田】 それにしても、稲村さんがあの700ページもの本を読破され、その本質を紹介された意義は大変大きい。『The Shok Doctrine』は、ケインズの『雇用、利子およぴ貨幣の一般理諭』、さらに言えばカール・マルクスの『資本諭』、アダム・スミスの『国富論』に匹敵するほど重要な本なのではないか、と思うほどである。

 『The Shok Doctrine』によってアメリカの市場原理主義者たちが次々に転向しているという話を耳にした。「フリードマンよ、さようなら!」運動が起こっている。有名なネオコンまでもが自己批判したともいう。同書は、アメリカとヨーロッパの思想を変えつつあると言っても過言ではない。

 日本では、伊藤千尋氏が昨年末、『反米大陸』(集英社新書)を上梓したが、これも極めて重要な著作だ。そこには、「ショック・ドクトリン」の理論のエッセンスが盛り込まれている。

 ここで伊藤氏は、「南米の政権交代をもたらしたのは、アメリカ流の新自由主義の経済をそのまま採用した政府の失敗だったが、政府を変えたのは市民の力である。格差を広げ、弱肉強食の社会を作ろうとする政府に対して市民が反対の意志を、投票やデモなどの形で明確に表明した」と書いている。

 いま、アメリカの裏庭である中南米は一斉に「脱米」に向かって動き出している。しかも、新自由主義と決別した国々は、栄え始めている。アメリカを乗り越えるモデルは中南米諸国にある。我々は、中南米諸国をも引き込んで、新たな世界的協調体制を作り上げるべきだ。そこには、アメリカもこ札までとは異なる立場で参加することになる。

 徳川幕府が明治維新によって政治体制を変えたように、アメリカ幕府体制から「パックス・グローバリズム」に変わる過程で、アメリカの地位はその構成国の一つに変わりつつある。

 明治維新の世界版をやるべきなのだ。坂本龍馬が起草した新国家体制の基本方針「船中八策」のような発想で、日本は中南米と手を組んで、「船中八策」の世界版の方針を打ち出すくらいの発想を持つべきだ。

 ところが、現在の日本の国会の議論は絶望的だ。世界金融危機すら話題にする議員が少ない。しばらく前にやっていた金融の議論の蒸し返しをしているに過ぎない。自民党も民主党もピントはずれの議論ばかりしている。いま、政党、政治家がなすべきことは、日本国民に、日本の生き方、生きる方向を示すことである。

 世界は「修正資本主義」、ないし「社会民主主義」の方向に転換しようとしている。代表質問においても、新自由主義か修正資本主義かという経済政策の原理について議論すべきだった。この重要な議論をまったくしていない。

 次の選挙では民主党が勝つかもしれないが、民主党には新自由主義を否定する発想もないし、どのような経済路線をとるべきかといった主張も不十分だ。また、イラク戦争、アフガン戦争の議論もない。どのような世界秩序を目指していくのかといった議論もない。恐ろしいほどの退廃、無知、魂の貧困だ。

【稲村】 日本総ボケの状況だ。危機感が全くない。心配なのは、経済が停滞する中で、戦争を画策する動きが出てくることだ。実際、イラン、グルジアなど各地できな臭い状況になってきている。日本は、主体的な立場で世界の安定のためにリーダーシップを発揮するべきだ。世界第二の経済大国である日本が、アメリカに追随しているのはおかしい。

 先月、バンコクに行ってきたが、タイは危機を認識し警戒警報を早く出すことのできる国だと思う。06年2月ごろ、タイではタクシン政権に対する反政府デモが発生し、その後、軍事クーデタが起こった。タクシン首相が、巨万の富を築きあげた電気通信会社の株式を外国資本に譲り渡して脱税したことが、タイ国民の怨嗟の対象となる大きな原因であった。

 つまり、新自由主義に陥ったタクシン政権と、グローバリズムを扇動する彼の背後関係に対するタイ国民の抗議の声である。その後、タイは民政に戻ったが、タクシン政権の後継となった現政権に対する抗議が続いているのである。このようにタイは、警戒警報を出すのが早い。

 明治維新の時代には日本人の感受性は、もっと強かったはずだ。ところが、現在の日本の指導者には激動の時代に適応しようという感受性が欠如している。目の前のことしか考えていない。

 「蛮社の獄」の高野長英にしろ、渡辺崋山にしろ、国際情勢の変化をとらえ、先駆けて警鐘を鳴らそうとした人々がいたが、当時の体制を維持しようとする勢力に弾圧された。それと似たような状況で、森田先生は早くから警鐘を鳴らそうとしていたため、マスコミから干されてしまった。正しいことを堂々と述べた言論人は、マスコミという権力によって潰されてきた。

【森田】 小泉構造政革でマスコミが失ったものは大きい。大マスコミは国民の信用という最も大切なものを失った。マスコミが新自由主義の手先となったために、国民のマスコミに対する信用は地に落ちた。テレビを見る人も減り、しかも半信半疑で見ている。
 大マスコミが依存してきた大企業からの広告収入も、限界に達している。私は3年前にマスコミの仕事を失ったが、逆にマスコミ批判の自由を得た。これから、私は徹底的にマスコミ批判を行っていく。

日本は一神教間の争いに巻き込まれるな<森田>

【森田】 9.11事件以後のブッシュの演説を調べたことがある。いかに神がかったものが多いかに驚かざるを得ない。そこには、神という言葉が頻繁に便われている。「我々は神の意志に基づいて戦う」とか、「善なるアメリカと悪なるテロリストとの戦いだ」とか、「我々は新たな十字軍である」といった言葉が用いられている。「新十字軍」の演説があまりにも強い反発を受けたために、その後、ブッシュの話はトーンダウンしたが、本質的には、アメリカは新十字軍戦争を戦っているという意識が続いているのではないか。イスラム側の意識は「十字軍との戦い」だ。

 「テロとの戦い」という言葉で日本のマスコミは鯛されているが、この「ブッシュの戦争」の本質を見失ってはならない。ブッシュの十字軍戦争を支えているのが、数千万のキリスト教右派であり、それを理論化したのがネオコンだ。アメリカとイスラムの戦争は、きれいな言葉を使えば、「文明の衡突」なのだ。

 つまり、アメリカは宗教戦争という泥沼に自ら嵌まっていった。かつての十字軍戦争は2世紀にわたって続いた。その過程でイスラムは「ジハード(聖戦)」の意識を強め、やがてキリスト教側は勝てなくなり、最後には敗北して逃げ帰った。

 ブッシュが継続している戦争は、日本が喜んで乗るような戦いではない。この戦争に加坦することは大きな間違いなのである。オバマが大統領になれば、アメリカはイラクからは撤退するだろうが、アフガニスタンについては、共和党、民主党とも徹底的に戦争を続けると言っている。オバマの場合には、イラクから撤退した軍隊はアフガンに集中させるという方針を示している。アメリカは、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)に日本が参加することを求めている。

 私が最近、小沢一郎を批判しているのは、「私が政権をとったら、自衛隊をアフガンに派兵する」と、小沢が言ったからだ。

 アフガンというのは、不思議なところだ。アレキサンダー大王の遠征もアフガンでつまづいた。ジンギス・ハンの遠征もアフガンでつまづいた。さらにイギリスも、そしてソ運も、アフガンで同様の敗北経験をした。つまり、アフガンは、そこに侵攻した国が崩壊への道をたどっていく、不思議な土地なのだ。しかも、アフガンがイスラム化された後には、アフガンに手を出すとイスラム全体を敵に回すという法則ができ上がっている。

 アメリカに加担してアフガンに派兵することは、宗教戦争に我々が加担していくことになる。イスラム側からは、日本はキリスト教右派陣営の一員とみなされ、反撃の対象とされるだろう。

 こうした無茶苦茶なことを、自民党政権だけではなく、小沢民主党までがやろうとしている。由々しきことだ。ここに日本の重大な問題がある。日本は無益な宗教戦争を止めさせる立場に立つべきだ。こんな馬鹿なブッシュの戦争をいつまでも続けさせていたら、人類は滅ぶ。

 世界平和のために各宗教は調和し合って共存していくしかない。日本政府は「アフガンには自衛隊を派遣しない。費用も負担しない」と、アメリカに対してはっきい言うべきだ。一神教間の文明の衝突を回避するための役割を、日本は積極的に果たしていくべきだ。多様なものを包み込む包容性と寛容性を特徴とする日本文明こそが、非妥協的な力の対決を克服する方策を示すことができるのだ。

【稲村】 日本には、日本にふさわしい主体的な対外政策があるはずだ。植民地主義ではなく、平等互恵の関係を基本として、アジア、特に東南アジア諸国への貢献をした1970年代の日本の政策は、評価していい。1960年代、70年代の日本の経済政策もそれほど悪くなかった。都市と農村の格差も縮小した時代だ。

 ところが、日本が市場原理主義に毒されてから、経済政策はおかしくなり、日本は格差社会となった。そして、東南アジアに対する協力も薄くなり、日本に対するアジア諸国の信頼も揺らいでいる。それでも、アジアには日本に対する尊敬の念は残ってはいる。

 マハテイール前首相、タイの国王陛下をはじめ、アジアには本来の日本の真価を理解している人々がいる。また中南米にも友好的な勢力はいる。例えぱ、ブラジルには150万人の日系人がいる。我々は、新自由主義に抵抗し、主体的な政策を目指す勢力を糾合していくべきだ。

 ところが残念なことに、日木の経済社会システムを新自由主義の方向にさらに変革しようという目論見は続いている。モルガンスタンレーの日本通のエコノミストなどは、例えば、オープンスカイ協定、移民1,000万人計画、農地の売買自由化、ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)の設立、公務員の昇格基準にTOEFL650点を入れる、小学校一年生からの英語教育、40歳定年制度、会計基準の国際基準への収斂、国税庁を財務菅から切り離す、処方薬の広告自由化といった具体的な破壊策を豪語している。

 アメリカの多国籍企業が儲かるように、中南米などの政策を誘導するために暗躍したエコノミック・ヒットマンが、日本国内でも民間人を装って破壊工作を進めている。こうした事態が進んでいることに、国民の注意喚起をぜひ促したい。

 国益を重視する政治家もいて、市場原理主義を停止し、財務省の財政再建至上主義を停止しようとする動きもあるが、外国勢力を含む新自由主義勢力の猛烈な巻き返しがあり、状況は予断を許さない。

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Posted by 稲村公望ファン at 19:22Comments(0)稲村公望論説